こんにちは、菊月です。
7月8日~15日の間、開催される(刀剣乱舞)女主コンビニイベント、あずゆーらいきっと記念合同誌に参加しました!
製本版をノベルティと共に、BOOTHで通販もされるそうですので、是非どうぞ。
内容は以前作った本の『深きところより、主よ』の後日譚其の弐です。
――ずっと書きたかった宗三さんの話が書けて良かったです。
【告知】女主コンビニイベント「あずゆーらいきっと!」の記念合同誌 by 菊月太朗@日曜日東E53a on pixiv
告知画像: http://www.pixiv.net/member_illust.php?illust_id=57868736&mode=medium
本文サンプル『今、須臾(しばらく)の仕合わせを此処(ここ)に』 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7006682
以前書いた
宗三左文字×女審神者本の『深きところより、主よ』 その話の後日談に当たる話を今日宣伝する
合同誌に 向けて
書きました。 本文サンプル:
近頃の忙(せわ)しかった時期を越え、本丸も落ち着きを取り戻した頃、女審神者は刀剣男士に休みを告げた。
そして、散り散りに部屋に引き上げる刀剣男士達を見送ってから、本丸に唯(ただ)一人残った近侍の宗三左文字に向かい女審神者は真剣な眼差しで、
「宗三左文字、お願いがあります」
と、乞うた。
「はい、何でしょう?」
宗三左文字は身長差の関係で主を見下ろして答えた。
「何も言わずに私に付いてきてください」
掛けられた言葉の意味を理解できずに、須臾(しばらく)宗三左文字は沈黙してから、「はい」と応えた。
それを聞いて、あからさまに安心した風の女審神者が、頬笑んだ。
「……良かった!」
言って彼女は、奥から桐の衣装箱を持ってきて、宗三左文字の前で開いた。
中には男物の和服一式と履き物が入っていて、これには宗三左文字も驚いた。
宗三左文字が何かを言う前に、
「着せて差し上げましょう」
と、女審神者が宗三左文字を着付けてゆく。
「主、これは……?」
と宗三左文字が問うも、
「ふふふっ」
と笑うだけで女審神者は黙っている。
到頭(とうとう)、履き物まで履かされて庭に立たされた。
「宗三、ちょっと待っててね」
そうやって女審神者は襖(ふすま)を閉めた。
程なく彼女は華やかで上品な中振袖姿で履き物を持って出てきた。
帯は金糸をあしらっており、とても御目出度(おめでた)い風情が出ている。
それを見て、(そういえば、一月だ)と暦を想い出した宗三左文字である。
「主?」
「お待たせしました。では行きましょう。でも、行き先は内緒。手を引くから、目を瞑(つむ)っていて」
上機嫌の主に言われては、何も言えず、宗三左文字は従順に従ったのだった。
女審神者の手を握ると、少しだけ緊張しているのか、うっすら彼女は汗を搔いていた。
宗三左文字は女審神者の緊張を知りながら、敢(あ)えて何も言わなかった。
女審神者は少しだけ何かを呟いて、そして、空間を移動した。
少し肌寒い風が頬を撫でたのを感じて宗三左文字は困った様(よう)に自分の主に呼び掛けた。
「主……これは――、……そろそろ目を開けても?」
「良いですよ」
明るい声の女審神者が許可したので、宗三左文字は、ゆっくりと目を開けた。
「ここは……」
宗三左文字が言葉を失ったのも無理はない。
其処(そこ)は、現代、そして、京都。付け加えるならば――、
「そうです。貴方の眠る、京都国立博物館」
得意気に、女審神者は続けた。
「あのね、頑張ってお仕事をしていたから、特別に許可が戴けたのよ」
嬉しそうに女審神者が言葉して、宗三左文字も漸(ようや)く彼女の意図を察した。
「もしかして―――」
「そうです。貴方に会いに来たの。宗三」
花の綻(ほころ)ぶ様(よう)に女審神者が笑った。
宗三左文字は、それだけで胸が一杯になる。
「でも、本当に混んでいるのね。こんなに人気だと思わなくて、ちょっと並んでしまうけれど、許してね」
眉を曇らせた女審神者の言葉に、宗三左文字は頬笑んで言った。
「主と一緒なら、時間を忘れてしまいますから大丈夫です」
宗三左文字の意見に、女審神者も笑みを返した。
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続きは是非合同誌でお楽しみくださいませ。