特典クリアファイルに蘊蓄が入りきらなかったので、ここに書きます。
題して
『メロンブックス様特典
静ちゃんの絵から学ぶメロンと先割れスプーンと、食器について』実は、ちゃんと食器描いてますw
■メロンについて
メロンブックスと言えば夕張メロン!
ですが、明治時代には夕張メロンは存在しません。
夕張メロンの品種名は「夕張キング」。
皆さんご存じの通り、北海道の夕張市で1960年に交配し、ここで生まれた種を1961年に蒔いて、その中から産まれたメロンです。
(ちなみに――脱線しますが――個人的に驚いたトリビアはアンデスメロンの由来です。こちらも日本人が作ったのですが、名前の由来が「安心です」→「アンデス」だそうです。びっくり)。
では、メロン自体が無かったかというと、そんな事はありません。
メロンの原産地については諸説ありますが、アフリカの野生種を期限とする説が有力です。
そこから伝搬して行きヨーロッパに伝わったものがメロン、中国経由で伝搬したものがマクワウリになったようです。
日本でも、縄文時代の遺跡から種子が発掘されています(奈良県唐古・鍵遺跡など)。また、応神天皇に献上した所、味や匂いが良く病気の薬になる素晴らしい果物として褒められて真桑瓜の名前を戴いたそうな(『甜瓜伝記』)。古事記にも「熟瓜(ホゾチウリ)」として出てきます。そんな感じで昔から栽培されていました。
ただ、今メロンとして皆様が頭に浮かべるメロンとは見た目が違って瓜っぽいです。
そして、明治時代。
明治20年(1887)頃からヨーロッパ系の温室メロンが導入され、試験栽培が進められました。同40年以降営利栽培が成立し、大正6、7年頃から市場に流通しました。
ここで大変な貢献をしたのが、福羽逸人(ふくば はやと)子爵です。
福羽氏が欧米の園芸技術・知識を日本へ導入しつつ、改良を加え、日本における近代園芸の基礎を築き、教育にも力を注ぎました(が、しかし、余りにも本人が天才過ぎて、生徒達が自分と同じレベルで出来ない事を嘆いていたとか……)。
ちょうど現在の新宿御苑で数々の蔬菜の促進栽培が行われていました。
『回顧録』を読んだのですが、やはりメロンは栽培が難しかったみたいですね。
さておき、最終的にメロンの温室栽培に成功したので、当時の富豪や政府高官の間で趣味の温室メロン栽培が流行したとか。
温室栽培が貴族のステータスなのは洋の東西を問わず、ですね。
■先割れスプーンについて
時代を合わせる為に、合衆国特許特許147119号(1874年2月3日)を取得したSamuel W. Feancisによる先割れスプーン(Improvement in combined knives, forks, and spoons)を描きました。
先割れスプーンのアイデア自体は古くからあったみたいで、意外でした。
■食器について
英国の王室御用達(1789年から)であるRoyal Worcesterの食器です。1880年頃のお皿で、アイボリーというシリーズです。燻金が素敵。
以上、蘊蓄の一部でした!